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第14回 尿検査~尿量・におい・色からわかること~

 今回は、尿検査の中でも尿量・臭い・色からわかることを、簡単にご紹介したいと思います。

尿量について

 健常成人の1日の尿量は1000~1500mLですが、水分摂取や脱水などによって変化します。1日の尿量が2000mL以上を

多尿、400mL以下を乏尿、100mL以下を無尿といい、その原因は様々です。

 

 

尿のにおいについて

  尿のにおいは日常の食べ物や飲みのもなどで変化します。健常人の新鮮尿はかすかな芳香臭といわれていますが、

疾患によっては特有のにおいがあります。

 

 

尿の色について
 

 通常、正常な尿の色は淡黄色ですが、尿量や疾患など様々な要因で変化します。尿の色とその原因について説明したい

と思います。

 

①赤色尿

 

 

 

      赤色尿の原因としては血尿や服用薬剤の影響などがあります。

    1)  血尿

          尿路の途中で、尿に血が混ざると血尿となります。原因となる疾患としては糸球体腎炎、腎腫

         瘍、腎結石、腎盂腎炎、膀胱炎、膀胱腫瘍、尿管結石などが挙げられます。  

        

      2)  薬剤性

          アンチピリン剤、サルファ剤、ラキサトールなどの薬剤の使用で、赤色尿を認める場合があり

          ます。

       *  アンチピリン剤は鎮痛・解熱薬、サルファ剤は抗菌薬、ラキサトールは便秘薬として用いられ

          ます。

 

②白色尿

 

 

 

                白色尿の原因としては濃尿・細菌尿、リン酸塩や炭酸塩の析出などがあります。

               1)  濃尿・細菌尿

                      尿路に細菌が感染し、炎症が起きた場合に細菌や白血球の影響で尿が白く濁ることがありま

                   す。原因となる疾患としては尿道炎や膀胱炎、前立腺炎などが挙げられます。特有の刺激臭、ア

                      ンモニア臭がすることがあります。

 

               2)  リン酸塩や炭酸塩の析出

                   リン酸塩や炭酸塩は摂取した飲食物や体内の塩類代謝に由来し、尿のpHや温度の変化によっ

                 析出します。健常人にも認められます。

 

 

③茶~黄褐色尿

     

  

 

     茶~黄褐色尿の主な原因としては濃縮尿、ビリルビン尿があります。

    1)  濃縮尿

          脱水などで、尿が濃縮する場合に茶~黄褐色になることがあります。

 

    2)  ビリルビン尿

             ビリルビンは肝臓から胆道・腸管に排出され、通常尿に排出されることはありません。しかし、

    急性肝炎や慢性肝炎、胆道閉塞などで胆汁の流れが妨げられると、ビリルビンは血液中に増

    加し、腎臓から尿中に排出されます。濃縮尿とは異なり、泡も茶~黄褐色になることが特徴です。

 

     

栄養ドリンクを飲むと尿が黄色くなるのは?

  栄養ドリンクには様々なビタミンが含まれています。その中のビタミンB2は食品の着色料としても使用されている、黄色

で蛍光性のあるビタミンです。このビタミンB2を摂取したうちの過剰分が、尿と一緒に排泄されるため、尿の色が黄色くな

るという訳です。

 

参考文献 JAMT技術教本シリーズ 一般検査技術教本p14~15