第4回 ウイルス肝炎
肝炎ウイルスには経口感染するA型、E型と、血液や体液を介して感染するB型、C型、D型(B型ウイルスをもっている場合のみ感染)があります。
A型、E型
主に食べ物や水によって感染します。国内では、A型は魚介類から、E型は豚レバー、鹿生肉、猪肉の摂取により感染したとの報告があります。いずれも十分加熱して調理するなど、食品の衛生管理が重要となります。衛生状態のよくない海外へ行く場合は注意が必要です。
発熱、吐き気、倦怠感、黄疸、食欲低下、腹痛などの症状がありますが、無症状のことが多いです。また、慢性肝炎にはなりません。
B型、C型
症状はA型、E型と似ています。B型では母親から赤ちゃんへの感染でウイルスキャリア(ウイルスを持続的にもっている人)になりやすいです。成人になってからのB型感染は慢性化することは少ないです。
C型感染の多くは慢性化します。慢性肝炎が長期間続くと肝硬変さらに肝細胞癌にいたることがあります。しかしウイルスをもっていてもALTという肝臓の炎症をみる酵素の値が上昇しない人もいます。ウイルスキャリアの方は定期的に医師の診断を受けましょう。最近、ウイルスを排除する治療法として、インターフェロンとリバビリンという薬剤の併用療法が高い効果があると報告されていますが、まだ完全ではありません。
関連する血液検査
A型肝炎
感染の有無をみるためにIgMHA抗体を調べます。
E型肝炎
ウイルスのRNAを調べることにより診断できますが、一般の病院では検査できません。
B型肝炎
健診などで感染の有無をみるには、まずHBs抗原を調べます。診断と経過観察のためにはHBs抗原に加えてHBe抗原、HBe抗体、HBc抗体、HBV-DNA定量などの検査があります。過去の感染の有無やワクチン接種の適応と効果をみるにはHBs抗体を調べます。
C型肝炎
感染の有無をみるためにHCV抗体を調べます。HCV抗体弱陽性の場合、過去に感染はしたけれども現在では完全に治っている場合もあります。これをはっきりさせるためにウイルスのRNAを調べる検査があります。