第 15 回 COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPDとは
COPDとは、Chronic Obstructive Pulmonary Disease(慢性閉塞性肺疾患)の頭文字を取った名称です。
たばこなどに含まれる有害物質を吸い込むことによって、空気の通り道である気管支に炎症を起こし、咳や痰が多くなっ
たり、空気の流れが悪くなります。また、酸素の交換を行う小さな袋(肺胞)が壊れて空気の出し入れがうまくいかなくな
り、呼吸がしにくくなります。
原因
[喫煙]
COPDの主な原因はたばこの煙です。日本ではCOPDの原因の90%以上が喫煙によるものといわれていて、
「たばこ病」や「肺の生活習慣病」とも呼ばれています。吸っている本人以外にも、受動喫煙している人も発症率
が上がります。
[たばこ以外]
・大気汚染物質(工場の煙、自動車の排気ガス、黄砂などのPM2.5)
・職業上の粉塵や化学物質(蒸気、煙) などがあります
症状
・咳や痰が数か月続いている
・階段や坂道を上がると息が切れる
・呼吸をするとゼイゼイ、ヒューヒューと音がする
特に、40歳以上で10年以上の喫煙歴がある方はこれらの症状を見逃さないようにしましょう!
COPDに必要な検査
・呼吸機能検査
・胸部X線
・胸部CT
・血中酸素飽和度 などがありますが・・・
呼吸機能検査はCOPDの診断に欠かせない検査です!
診断以外にも、重症度分類や、治療効果判定に使用されます。
呼吸機能検査について
呼吸機能検査にはいくつか種類がありますが、主な項目に肺活量(VC)と努力性肺活量(FVC)があります。
[肺活量測定(VC)]
最大限に息を吸ったり吐いたりできる量を測定し、肺の大きさについて調べる検査です。
[努力性肺活量測定(FVC)]
胸いっぱい吸った息をどれだけ一気に最後まで吐ききることができるかを測定します。
このうち、最初の一秒間に吐き出された空気の量を1秒量(FEV₁)、努力性肺活量(FVC)に対する1秒量の比率を
1秒率(FEV₁%)といいます。さらに、COPDの診断には、気管支拡張薬を吸った後にもう一度同じ検査を行う必要
があります。COPDでは、お薬を吸った後も改善がみられず数値がそれほど変わりません。
気管支拡張薬投与後の呼吸機能検査で、一秒率(FEV₁%)が70%未満であればCOPDと診断されます。
治療
薬物療法、運動療法、栄養管理などがありますが、COPDの治療法として第一に禁煙することが大事です!!
たばこの量を減らすことは効果が無く、完全に禁煙をする必要があります。さらに重症な患者さんでは、在宅療法や
外科療法が行われる場合があります。
一度壊れてしまった肺胞は元に戻ることはありませんが、早期に診断を受けて適切な治療を行うことで、症状を和ら
げたり、病気の進行を抑制することが可能です!!
「もしかして私も?」と思った人は思い切って医療機関を受診してみましょう!!
参考資料:JAMT技術教本シリーズ 呼吸機能検査技術教本
フクダ電子 「肺機能検査を受ける方へ」