第 16 回 尿酸・高尿酸血症
健康診断やテレビCMなどでよく目にする「尿酸」や「プリン体」とはいったいどういったものなのでしょうか。
今回は高尿酸血症・痛風について簡単にご紹介します。
尿酸(UA)とは
尿酸は体の中で余ったプリン体から作られる物質です。プリン体は尿酸にならないと体から排出することができません。そのため、体の中のプリン体が多すぎる時やそれに対する尿酸の排出が追いつかない時には血清尿酸値が高値となってしまいます。
基準値 3)
男性:3.7~7.8mg/dL
女性:2.6~5.5mg/dL
当院では、JCCLS(日本臨床検査標準協議会)の共用基準範囲を採用しております。
基準範囲とは測定値を解釈する際の目安となる値であり、治療の必要性については医師が症状や他の検査結果と併せて総合的に判断します。
プリン体とは
プリン体はプリン塩基を持っている物質の総称で、私達が活動するために必要なエネルギーや核酸の原料となります。
プリン体は食べ物や飲み物に含まれていたり、体の中で古くなった細胞が壊れる時に作られます。
血清尿酸値が高値になるとどんなことが起こる?
血清尿酸値が7mg/dLを超えた状態を高尿酸血症といいます。高尿酸血症になると、血液に溶けきれなくなった尿酸が体の中で固まって、結晶になりやすくなります。
結晶が関節にできると、激しい痛みを伴う痛風発作が起きてしまいます。(この状態を一般的に痛風といいます。)痛風を治療せずに放置してしまうと、腎機能障害の原因となることもあります。
↑顕微鏡で観察した、関節液中の尿酸ナトリウム結晶
血清尿酸値の上昇を抑えるには?
血清尿酸値が高値となってしまう原因は多岐にわたります。高尿酸血症の予防や改善のために食事やアルコールの面で注意する点をご紹介します。
1.食事
動物の内臓(レバーや白子など)、魚の干物、干しシイタケや鰹節にはプリン体が多く含まれています。2)これらの食材を食べすぎると血清尿酸値が上昇するので、気を付ける必要があります。
2.アルコール
アルコールはプリン体の代謝に影響して血清尿酸値を上昇させる作用があるため、摂取量を減らすことが重要です。アルコールの中でもビールは特に多くプリン体が含まれています。2)
1日に摂取しても血清尿酸値に影響しないとされている酒量2)
日本酒 1合/日
ビール 500ml/日
ウイスキー 60ml/日 以下
痛風の治療法
痛風発作がある場合や腎機能障害など合併症を起こしている場合は、薬物療法の適応となります。薬物によって尿酸の排泄を促す、または体内で生成される尿酸を抑制することで、血清尿酸値をコントロールします。
参考文献
1)株式会社メディックメディア:病気がみえるvol.3糖尿病・代謝・内分泌第5版、p140-151(2019)
2)日本痛風・核酸代謝学会:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン ダイジェスト版 第1版(2002)
3)JCCLS(日本臨床検査標準協議会)共用基準範囲