第 17 回 睡眠時無呼吸症候群
<睡眠時無呼吸症候群とは>
睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりして体の低酸素状態が発生する病気です。近年、睡眠時無呼吸症候群が動脈硬化や心臓病の発生と大きく関わっていることが判明しました。日中の眠気を改善するだけではなく、多くの合併症を減らし健康を維持するためにも早めの検査、早めの治療が重要になります。
<症状>
〇起床時の頭痛 〇日中の強い眠気 〇倦怠感 〇起床時ののどの渇き
〇強いいびき 〇頻回の中途覚醒 〇集中力の低下 〇夜間の頻尿
<原因>
睡眠時無呼吸症候群の原因は閉塞性と中枢性の2つに分けられます。
①閉塞性→空気の通り道(気道)が塞がることで起きる無呼吸
例)肥満、顎が小さいなど
②中枢性→脳の中にある呼吸を調節する司令塔の働きが低下して、呼吸の指令が届かなくなることで起きる無呼吸
<合併症>
〇体の低酸素状態を補うため心臓の働きが強まる ➡ 高血圧
〇酸素濃度が下がり動脈硬化が進行 ➡ 心筋梗塞、冠動脈疾患、脳血管障害
〇深い睡眠がとれないストレス ➡ 居眠りによる交通事故、QOLの低下、血糖・コレステロール値増加
<検査>
睡眠時無呼吸症候群の検査には、自宅で行う簡易検査と専門の検査施設等に入院して行う終夜睡眠ポリソムノグラフィー(PSG)検査があります。簡易検査を行い睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合、より精密なPSG検査を行うことになります。
PSG検査とは、睡眠障害を総合的に評価する検査法で、当院では1泊2日で検査を行っています。様々なセンサーを体に取り付けて睡眠の段階、睡眠の質、中途覚醒、呼吸の状態、心電図等の正常・異常、血中酸素の状態を判断します。
<検査の結果>
睡眠1時間あたりの無呼吸および低呼吸の合計回数によって睡眠時無呼吸症候群における重症度を分類する仕組みになっています。 重症度や原因に応じた治療法が選択されます。
<治療>
〇生活習慣の改善
ダイエット、アルコール制限、禁煙を行います。
〇睡眠習慣の改善(ポジションセラピー)
仰向けで寝ることが睡眠時無呼吸症候群のリスクを上げます。グッズなどを用いて
横向きに寝ることを習慣化します。
〇 歯科装具の利用
専用のマウスピースを装着し舌根の沈みを軽減します。
〇耳鼻科的手術
外科的手術により鼻や喉の形状的異常を治療します。
〇持続陽圧呼吸補助装置(CPAP)療法
睡眠時にマスクを装着し、空気を送り込むことで気道を広げ閉塞を防ぎます。
参考文献
JAMT技術教本シリーズ 神経生理検査技術教本
PHILIPSマニュアル資料
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト