「キャッシュフロー計算書」の公表について
はじめに
キャッシュフロー計算書とは、一会計期間における「現金および預金(キャッシュ)の増減(フロー)」を表す財務諸表(※)であり、経営活動の実態をより明らかにするものとして、民間の上場企業においては、平成12年3月期決算より作成が義務づけられ、 病院事業などの地方公営企業については、平成26年度予算よりキャッシュフロー計算書の作成が義務づけられています。仙台市立病院では、経営情報の積極的な公開という観点から作成し、公表しています。
※ 財務諸表:企業が作成する財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況を表した報告書
キャッシュフロー計算書の概要
(1)導入の背景
企業における会計処理では、売上や経費の原因が発生した時点で収益や費用を計上する「発生主義」が採用されています。
このため、必ずしも利益の増加とキャッシュの増加は一致せず、バブル経済崩壊後には、黒字を計上している企業でも資金繰りの悪化から倒産する、いわゆる「黒字倒産」が大きな社会問題となりました。
このような社会情勢を背景に、企業の経営分析に資金の状況を重視する傾向が強まり、従来からの代表的な財務諸表である貸借対照表や損益計算書では把握することができなかったキャッシュ・フローの状況を表すキャッシュフロー計算書が注目されるようになったものです。
これら3つの財務諸表は、相互に補完する関係にあり、併せて見ることで企業の経営状況をより正確に把握することが可能になります。
(2)キャッシュフロー計算書の3つの区分
キャッシュフロー計算書では、企業の活動を「業務(営業)活動」「投資活動」「財務活動」の3種類に区分し、それぞれのキャッシュの増減を表すこととしています。
それぞれの区分の内容および主なもの(病院事業の場合)は次のとおりです。
業務(営業)活動によるキャッシュフロー
企業の主たる業務(営業)活動に関するキャッシュの増減を表しています。一般に、多いほど事業活動がうまくいっているといえます。
★ 主なもの
収入:入院・外来収益
支出:診療に要する経費(材料費,職員給与費など)、借入金の支払利息
投資活動によるキャッシュフロー
建設投資や固定資産の売買に関するキャッシュの増減を表しています。
大規模な資産売却を行う場合などを除き、建設投資を行っていれば、マイナスになります。
★ 主なもの
収入:医療機器の購入に伴う国庫補助金、一般会計負担金
支出:医療機器等の購入に関する経費
財務活動によるキャッシュフロー
借入による収入および借入金の返済に関するキャッシュの増減を表しています。
プラスの場合は、新たな借入が返済額を上回っており、結果として借入金の残高が増加していることになるため、基本的には少ない方がよいといえます。
★ 主なもの
収入:医療機器の購入等に伴う新たな借入金
支出:借入金の償還元金
(3)キャッシュフローから見た企業の経営状況
キャッシュフロー計算書のそれぞれの区分の「プラス」と「マイナス」の組み合わせから見た、企業のおおよその経営状況は次のとおりです。