日本の病理学について
日本においては病理学は基礎と臨床の挾間にあります。自ら基礎的学問を追究しつつ、一方では臨床診療と密接に関係した診断学を行ってきました。日本では病理診断科は基礎的位置に置かれ、臨床とは別に見られる傾向にあります。臨床診断の中の診断病理学は決して基礎的な仕事ではありません。
欧米では60年以上も前から臨床病理と基礎病理が分かれ、一般の病院に臨床医としての病理医が常勤しています。一般市民も病理の名前を良く知っています。しかし、日本では病理医が常勤する病院は少なく、未だに特殊な職種と考えられています。
病理診断科はやっと標榜科として認定されました。患者さんを直接診察しないと言うことが大きな理由で、長年標榜が認められませんでした。日本病理学会は長年標榜科にしてもらうように努力してきましたが、ついに日の目を見ることになりました。将来は馴染みある名前になるでしょう。